でも・・・ たくさんの本を置く場所がない。 本をたくさん買いたいが費用がばかにならない。 古い本はちっとも読まれないまま、ますます埃をかぶっていく。 児童書を扱っている書店が近くにないので、なかなか本を選びに行けない。 そんな悩みを解決するために考えられた仕組みです。 「読書は心のごはん」 「心のごはん」を持ち運びできるようにおにぎりにしました。 「私はただ、私のなかの子どもを楽しませたかっただけ」 『長くつ下のピッピ』の著者アストリッド・リンドグレーンは言いました。 「本を読んでくれる子どもを教育しようとか、影響を及ぼそうなんて、考えていない。もし私が、たったひとりでも、だれかの憂鬱な子ども時代を輝かせることができたのだとしたら、私はそれで満足なの。」 これが、おにぎり文庫の精神です。 人の手でにぎったおにぎりは、おいしさが、人から人へ伝わっていきます。子どもの食べたおにぎりおいしさは、未来の子どもたちへと伝わります。 絵本を読んでいるとき、子どもたちは幸せそうです。 絵本を読んであげているとき、大人たちは優しい顔です。 思春期の子どもたちのための電話相談の、相談員の方のお話を聞いたことがあります。 「思春期の子どもたちから、深刻な悩みの相談を受けます。『死にたい』と言って電話をかけてくるのです。 電話口で何時間話してあげても、伝えられることはわずかです。 でも、『それなら、こういう本を読んでみたら』と勧めたとき、読めた子からはまた電話がかかってきて 『わかりました。もう一度がんばってみます』と言ってくれます。 読めなかったかな、と心配していると、警察から電話がかかってくることもあります。 『補導された』とか最悪な場合は『自殺してしまった』とか。 『おたくの電話番号がメモしてあったが、どんなことで悩んでいた様子でしたか?』 思春期は、自分の将来について真剣に悩む時。にもかかわらず、身近な大人の言うことには耳を傾けてくれません。 そんなときに、人生について作家が真剣に、一字一句にこだわって書き上げた本を読める子にしておくことは、その子の命を救うこともあるのですよ。」 思春期になった時に、自分にとって今必要な本を、自分で選んで読見きることのできる人であってほしい。 子ども時代に、「大好きな一冊」と出会ってほしい。 8冊の中から、自分の大好きな本を見つける楽しさも味わってほしい。 幸せな子どもたちを見て、私たちも幸せになりたい。 大人にとっても、絵本は心の奥底に直接響いてきます。 不信、不条理、絶望・・・そんな暗闇の中で絵本を読むと思いきり泣いたり、クスっと笑ったり、美しい絵に見惚れたりしているうちにとりあえず明日は生きてみよう、と思えます。 さぁ、一緒に、おにぎり文庫を始めましょう。 |